登山ガイドで気象予報士の矢野です。
2018年8月の月イチ机上講座は台風13号接近のため中止、9月にスライド開催となりました。
今回のテーマは「イマドキの登山計画の立て方」と「秋山の気象」の2本立て。山岳気象の話は3ヶ月に一度、次の季節についてお話しします。私は気象予報士でもありますが、サイエンス感が失われない程度の超ざっくり説明を心がけております。次回は11月に冬山気象の予定です。
今回は9〜11月の天候パターンの移り変わりをざっくり把握していただき、夏から冬に向かう季節の移り変わりの中で空や空気そして景色の見え方がどう変わっていくか、昨年の山行写真を振り返りながら確認しました。
日々の天気の予想はもちろん大切ですが、山行計画を組む際はもっとざっくり「天候の移り変わり」を踏まえて考えられればOKですから、あまり細かな天気図解析には踏み込みません。でも、気温変化の説明で高層天気図を使いましたし、知らず知らずのうち専門天気図に慣れ親めるかも!?
続いて今回のメインテーマ「イマドキの登山計画の立て方」です。満足度の高い山行とするためにどのような観点で考えていくとよいか、また、登山計画書の作成効果を改めて認識し「誰に何を伝えるためのものか、それなら何をどこまで書くとよいか」と出口から逆にたどるように1つずつ確認しました。
情報収集の主流がインターネットに変われども、本や雑誌の「高品質な情報源としての存在感」は揺るぎませんね。登山者としてはどちらもうまく使えるのが一番いいわけで、本や雑誌の良さを現物を手に取り感じていただければと、いろいろ持ってきてみました。
自分の興味関心軸からの山選びに便利と思われる雑誌やDVDたち。情報鮮度が関係するものもありますが、そこは読み手が上手に対応しましょう!
身の丈にあった山選びが重要です。メジャーな山であれば、都道府県主体で近年整備が進められている「山のグレーディング」も参考にしましょう(各都道府県のページへは【山学リンク集:山と山登りの理解が深まるお薦めサイト】からどうぞ)。グレーディング表が都道府県単位に作成されていて、ルート取りによっては複数県のグレーディング表が必要になることもありますよといった小ネタもご紹介しました。グレードの決め方に興味のある方には、グレーディング表の隅に計算式が書かれていることをご紹介しました。
イマドキの、登山ルート計画から登山計画書の作成・提出までインターネットで完結させる方法の一例として、 ヤマプラ → ヤマレコ → コンパス と連携させる方法をご紹介しました。
登山計画書の具体的な書き方では、例えば装備品は「何をどれくらいのレベル感で書いたらいいか」という疑問の答えを見つけるため、あえて紙の登山計画書を複数見比べてどういった情報が必要とされているのか確認しました。ビバークやセルフレスキューの装備品を中心に書き、どの程度まで自力対処できそうか伝えることが重要と一同納得されました。
地味でも大切なことはあります。1つでも新たな気づきをお持ち帰りいただけたなら幸いです。
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