気象予報士とは

気象予報士のみに認められること

気象予報士とは、国家試験の1つである「気象予報士試験」に合格し、かつ、気象庁長官による登録を受けた者のことをいいます。関連法規は気象業務法第24条になります。
気象予報士制度は平成5年5月の気象業務法改正を受けて開始された制度です。このときの法改正では「予報業務の自由化(気象庁限定から民間開放へ)」が行われ、一定条件を満たせば予報業務許可事業者として独自の天気予報を発表できることとなりました。予報業務許可事業者は気象業務法のなかで「現象の予想を気象予報士に行なわせなければならない」と規定されており、事業内容に応じた数の気象予報士を置かなければなりません。ですから「気象予報士の価値=気象予報士の資格がないとできないこと」と捉えると、それはたった1つ、「予報業務許可事業者における現象の予想」ってことになります。気象予報士と聞いて一般の人が最初にイメージする「お天気キャスター」は気象予報士である必要はありません。

気象予報士でも天気予報は発表できない

予報業務が自由化されて「気象庁」に加えて「予報業務許可事業者」も天気予報を発表できることになりました。反対に、それ以外の者(無許可の者)が天気予報を発表するとどうなるかというと「無許可の予報」となり、気象業務法にも罰則が規定されています。
気象予報士個人で予報業務許可事業者になっていらっしゃる方もごくわずかいらっしゃいますが、それ以外の気象予報士は「無許可」なほうに入るので、気象予報士でも天気予報を発表するのはNGです。ここも世の中の認識とのギャップが大きいところです。ただし、私的な行為は「業務」にあたらないので、家族や友人の依頼に応じて天気予報をしてあげるとかはOKです。
以上、ややこしい話をしましたが、一般にイメージされる気象予報士と制度上の気象予報士に大きなギャップのあることをお分かりいただけたら幸いです。

「知識・技能レベルの証明」としての気象予報士資格

結局のところ、世の中からは「気象予報士は明日の天気を読み解ける人」「気象の知識が豊富な人」「気象オタク」と認知・期待されており、私の知る限り、おおよそ正しいと思います。さらに付け足すと「気象と防災を結びつけて考えられる人」でもあります。
こういったことから、予報業務許可事業者以外にも

  • 解説|お天気キャスター、Webサイトでのお天気解説、気象にまつわる小ネタ提供
  • 啓蒙|小学生や市民(大人)向け、気象博物館の説明員
  • 防災|地方公共団体や地域活動

などへ活躍の場は広がっています。これらの活動は気象予報士資格は必須でありませんが、「気象予報士試験合格レベルの知識と技能を持っている人」が適任ですので、そういう知識・技能レベルの証明という意味で「気象予報士」が使われていいと思いますし、どんどんそうなって欲しいです。